【祝!2025年開催決定!】万博の夢よ、ふたたび

 政府が大阪への誘致をめざす2025年万博の開催地決定が、いよいよ23日(金・祝)にせまりました。1970年のあの日、千里丘陵の会場で「人類の進歩と調和」を夢見た人たちも、開催決定を待ちわびています。(伊藤真弘)

 

「すべてが未来都市」万博に グッズに魅せられて

池田市の白井達郎さん
自宅外壁に「ウルグアイ館」パビリオンの一部を取り付ける。「閉幕後、丹波市に移設されてラーメン店になっていたものを譲ってもらいました」。コレクションの中でも最大だ

 池田市の白井達郎さん(64)は “日本一の大阪万博グッズコレクター” として知られる。万博関連のグッズ・資料約1万点を収集し、自宅の一室を「万博ミュージアム」として開放(現在は休館中)。招致ムードが高まる現在、各地のイベントに展示品を貸し出し、グッズを通じて万博の魅力を講演する。
 高校入学直前の春休みに万博が始まった。田んぼだらけだった自宅周辺は、高速道路や北大阪急行の開通が相次ぎ、街が変わるダイナミズムを開幕前から感じていた。初来場は開幕直後の3月16日。15歳の白井少年の目には「会場すべてが未来都市に映りました」。夏休みは会場内レストランでアルバイトし、来場は30回以上。会場へは、メインゲートに近い北急・万国博中央口駅(当時)ではなく、阪急・万国博西口駅で降りた。「その方が人気企業のパビリオンに近かったので」。会場全体の位置関係は、今でも頭に焼き付いている。
 閉幕から48年の今も収集を続け、初めて出あうグッズもいまだにある。「『こんなん初めて見た!』が連続した結果の1万点です。グッズが多すぎて主催者側も全容を把握しておらず、いわばカタログのない収集の世界。やめられませんね」
 自分と同じように、若い人にも万博で未来を夢見てほしいと願う。開催地決定の瞬間は、大阪招致に取り組む “万博仲間” と見守る予定だ。「大阪に決まったら、朝まで騒ぎますよ」

万博グッズ
収集グッズの一部。過去には白井さんの貴重なコレクションをまとめた本も刊行されたほどだ。「皆さんのお宅にも“お宝万博グッズ”があれば、ぜひ連絡ください」
※「万博ミュージアム」HP:http://www.eonet.ne.jp/~expo-m/index.htm

 

華やかに会場を彩った日々「万博は誇り」

 開催当時は「ホステス」と呼ばれた、会場の案内誘導にあたる女性スタッフ。ファッショナブルな制服を身にまとい来場客をもてなす姿は「万国博の華」 とも呼ばれ、女性活躍の先駆け的存在だった。
 豊中市の女性もその一人。大学在学中「アルジェリア館」で来場客を迎えた。「外国人が珍しかった時代。仕事を通じて初めて外国人と英語で会話し、刺激になったことを覚えています」。動く歩道、モノレール、ブルガリア館で初めて食べたヨーグルト。すべてが新鮮で、会場に行くたび「純粋に夢を見られた」という。
 空前の熱狂を間近から見つめた。幼少のころから住み、愛着もひとしおの千里エリアが万博会場になったことは、今でも誇りだ。「次の大阪万博のテーマは『いのち輝く未来社会のデザイン』。日本人の細やかな視点と技術を、介護や福祉に役立て発信してほしい」。人生経験を積み重ねた今、そう願う。

当時のアルジェリア館
当時のアルジェリア館。“白い都市”と呼ばれた首都アルジェをイメージした外観がひときわ目をひいた。提供=大阪府



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