京都・高山寺を築き、40年間にわたり自身の見た夢を「夢記(ゆめのき)」として書き残した明恵上人(みょうえしょうにん)(1172~1232)。中之島香雪美術館では、明恵の夢に焦点を当てた特別展「明恵の夢と高山寺」を開催している。
開催に先駆けて行われた記念式典では、秋山耿太郎(こうたろう)公益財団法人香雪美術館副理事長らが登壇。
秋山氏は「当美術館は開館から1年間、所蔵品コレクション展を行ってきたが、今回は初めての特別展。高山寺に多大なるご協力を頂き、幸先の良い第1回目の特別展を開催することができた」と感謝の意を述べた。
また、田村裕行 栂尾山(とがのおさん)高山寺執事長は「この展覧会をきっかけに明恵上人の築いた高山寺にもぜひ足を運んで頂きたい」と話した。
本展では、明恵が書いた「夢記」のほか、明恵の夢に関連した美術品の数々を展示する。
寺所蔵の国宝で漫画のルーツともいわれる「鳥獣戯画」全4巻も特別公開され、ウサギや蛙、幻想的な聖獣が躍動する甲巻・乙巻は前期に、動物とともに滑稽味あふれる人の世界を描き出した丙巻・丁巻は後期に展示。「鳥獣戯画」は2009年から4年かけて、朝日新聞文化財団の助成で大規模な回収修理が行われた。ただ、制作の状況や高山寺に伝わった経緯は今もはっきりしておらず、謎の多い作品である。
睡眠中にみる夢だけでなく、夢想や瞑想など様々な形の夢を記録し続けた明恵。夢と現(うつつ)を生きた、高僧・明恵のみた夢の世界を覗いてみませんか。
◆台風21号で被害を受けた高山寺の復興を支援
昨年9月、近畿地方で猛威をふるった台風21号。高山寺でも樹齢100年以上の大木をはじめ200本以上が倒れ、金堂や石垣の崩落など甚大な被害を受けた。
すでに復旧工事は始まっているが、山間に位置する高山寺では倒木の搬出にヘリコプターが必要になるなど、完全な復旧にはさらに時間と労力がかかる見通し。
同寺の貴重な文化財を未来に引き継いでいくため、本展会場にも復興支援募金箱を設置している。
特別展「明恵の夢と高山寺」
中之島香雪美術館
【前期】3月21日(木・祝)~4月14日(日)
【後期】4月16日(火)~5月6日(月・振休)
休館日:月曜(ただし4月29日・5月6日は開館)
料金:一般1300円、高大生800円、小中生400円
http://www.kosetsu-museum.or.jp/nakanoshima/exhibition/2019_3-21/