19世紀ドイツで活躍したピアニストで作曲家のクララ・シューマン生誕200周年記念と銘打ったユニークな公演を、西宮を拠点に活動する夙川座が6月2日(日)大阪市天王寺区のクレオ大阪中央ホールで上演する。公演タイトルは音楽劇「クララ・シューマン 天才のヨメはん」(全2幕)。ちょっとズッコケた題名の通り、大阪弁のボケ・ツッコミを盛り込んだ現代の“夫婦善哉”が期待できそうだ。劇中にはピアノ伴奏でシューベルト「菩提樹」、クララ・シューマン「愛の魔法」、ブラームス「子守歌」、シューマン「ロマの民」などの歌曲が入り、哀愁を帯びた音色の二胡演奏も楽しめる。
夙川座は2015年に声楽家(メゾソプラノ)の浅川文恵さんと作家の伊佐山紫文さんが西宮で旗揚げ。「クラシック歌曲の美しい旋律に、現代の日本人が共感しやすいオリジナルの日本語歌詞をつけて歌う」ことをモットーに、浅川さんを座長に、伊佐山さんが座付き作家として、これまで10作品を上演してきた=別表参照。
夙川座上演記録 2015年 〇4月「平家物語 祇王」(越木岩公民館) 〇5月「幻 二人の光源氏」(神戸酒心館) 〇6月「平家物語 建礼門院徳子」(夙川カソリック教会講堂) 〇8月「竹取物語」(夙川カソリック教会講堂) 〇11月「フィガロの決戦!」(新大阪ムラマツリサイタルホール) 2016年 〇4月「恋の名残 新説・曽根崎心中」(神戸酒心館) 〇9月「ヤマトタケル 古事記列伝その一」(大阪大丸心斎橋劇場) 2017年 〇4月「神戸事件始末 瀧善三郎の最期」(大阪大丸心斎橋劇場) 〇9月「神戸事件始末 瀧善三郎の最期」再演(コープ神戸生活文化センターホール) 〇10月「恋の名残 新説・曽根崎心中」再演(新大阪ムラマツリサイタルホール) 2018年 〇1月「平和の新地」(住之江区オスカーホール) 〇9月「ふたりのヨシコ 李香蘭と男装の麗人」(大阪大丸心斎橋劇場) |
今回の作品の原作・脚本・訳詩・演出を手掛ける伊佐山さんは「クララ・ヴィーク・シューマンは、ヨーロッパ中を演奏旅行して作曲家の夫ロベルトを物心両面で支えつつ、ロベルトの死後もひとりで何人もの子どもを育て上げた。クララは、まさに『はたらくお母ちゃん』の先駆け。天才のヨメはんというタイトルには、クララ本人が天才であることはもちろん、夫のロベルト・シューマンも、ロベルトの弟子でその死後はクララと子どもたちを父親のように支えたブラームスも天才という意味を込めた」と話す。
クララ・シューマンを演じるピアニストの崎谷千恵さんは「現代でも仕事と家庭の両立は大変なこと。ましてクララの時代には女性が演奏旅行に出かけることはタブーに近いことだったのではないかと思う。それでも、夫と家族を支えるために彼女は働いた。そして夫の死後も彼の曲を伝える活動をした。本当に夫を愛していたし、頭も良かった。尊敬できる女性です」と話す。
夫シューマンを演じるテノールの谷浩一郎さんは「この役をもらって改めてシューマンについて調べた。時代から男尊女卑で自分勝手なところもあるのは仕方ないが、彼は音楽に対して純粋なところがあったと思う」。ブラームスを演じるバリトンの西村圭市さんは「ブラームスはシューマンを尊敬していたし、クララにも敬意をもって接した男だったはず」と言う。
そのほかの配役は、クララの門下生・アガーテにソプラノの藤本裕貴、謎のジプシー女に世界的にも知られる二胡奏者の鳴尾牧子、クララの母・マリアンネに浅川文恵(兼プロデューサー)、父・ヴィークに渡部洋(兼演技指導)。コミカルさをパワーアップするクララの門下生たちを久保三加代、中西優子、辻田千里が務める。鳴尾さんは「学生時代にコーラス部だったと話したら、最後の合唱にも参加することになった。いつもの私の公演と違うステージを楽しんでやっている」と笑う。
会場のクレオ大阪中央ホールは大阪メトロ「四天王寺前夕陽ヶ丘」から徒歩約3分。14時開場、14時30分開演(16時終演予定)。前売り3,000円、当日3,500円。企画・主催:㈱夙川座、協力:大阪市男女共同参画のまち創生協会、後援:大阪音楽大学同窓会≪幸楽会≫、関西・大阪21世紀協会。特別協賛:長﨑雄二。
問い合わせ・予約は夙川座へ。
TEL0798・55・8297、
Eメール:shukugawaza@gmail.com