劇団四季ミュージカル『ノートルダムの鐘』光と闇が絡み合う深く美しい人間ドラマ~2020年1月19日(日)まで京都凱旋公演

 7月28日、劇団四季ミュージカル『ノートルダムの鐘』の京都凱旋公演が大きな感動を呼んで始まった。途中からスタンディングオベーションとなったカーテンコールは何度も続き、観客は惜しみない拍手を送った。

 

『ノートルダムの鐘』7月27日京都公開舞台稽古より(カジモド役は飯田達郎)ⓒDisney

 『ノートルダムの鐘』はフランスの文豪ヴィクトル・ユゴーの代表作「Notre-Dame de Paris(ノートルダム・ド・パリ)」に発想を得て、ディズニー・シアトリカル・プロダクションズが製作した作品だ。洗練された舞台美術とスケールの大きな演出で、これまでのミュージカルの常識を塗り替える素晴らしい感動を届けてきたディズニーと劇団四季の提携第6弾だ。日本初演は2016年12月東京四季劇場[秋]、翌17年7~9月に京都劇場で上演。その後、横浜、名古屋での上演を経てブラッシュアップ。今回、稽古を重ねて京都に戻ってきた。

 

『ノートルダムの鐘』7月27日の京都公開舞台稽古より(カジモド役は飯田達郎)ⓒDisney

 物語の舞台は15世紀末のパリ。ルイ11世の統治下にありながら教会が大きな権力を持ち、庶民は根無し草の流浪の民を警戒していた。年に1度の道化の祭りの日は街を挙げての無礼講。ノートルダム大聖堂警備隊長に着任したフィーバスも戦場からパリに戻ってきた。大聖堂の鐘楼に住むカジモドは、大聖堂大助祭で伯父のフロローとの約束を破り、初めて出て行った街で、ひどい仕打ちを受ける。彼ら3人は祭りで素晴らしい踊りを披露したジプシーの娘エスメラルダに否応なくひかれてしまうが……。愛と憎、聖と俗、明と暗、光と闇という人間存在が抱える両面性を繊細に描き出す作品は、自国第一主義や移民排斥の風潮が高まる現代の世界の様相を鋭く撃つ。『ノートルダムの鐘』はユゴーの原作に添ったシリアスな演出がピリリと効いた、大人のための深く美しい傑作ミュージカルといえる。

 

田中彰孝のカジモドと岡本美南のエスメラルダ(ⓒDisney 撮影:阿部章仁)

 初日のキャストは、カジモドを田中彰孝、フロローを野中万寿夫、エスメラルダを岡村美南、フィーバスを清水大星、ジプシーたちのリーダー・クロパンを吉賀陶馬ワイスが熱演。石像がいつの間にか人に置き換わって動き出したり、男女のアンサンブルが物語の進行に合わせて舞台上の小道具を滑らかに動かして場面を転換したり、観客の集中力を高め、ぐいぐいと物語に引き込んでくる工夫は随所に。舞台中央に掲げられたステンドグラスの両脇に並び歌うクワイヤ隊の歌声も荘厳な雰囲気を醸し出していた。(大田季子)

 

 【公演情報】『ノートルダムの鐘』京都公演は、2020年1月19日(日)まで京都劇場(JR京都駅ビル内)で。料金はS席10,800円、A席8,640円、B席6,480円、C席3,240円(税込み。今後、消費税率が改定された場合は料金も改定する)。※公演当日3歳以上有料(膝上観劇不可)。2歳以下の入場不可。

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