初日には旧友・桂文枝さんとのトークも。81歳の現在地を表現した「絵で行けるとこ 黒田征太郎展」開催中

トークセッションを行った桂文枝さん(右)と黒田征太郎さん(中央)

大阪市出身で被災地などでのライブペインティングや大阪ミナミ・アメリカ村の巨大壁画で知られるアーティスト・黒田征太郎さんの展覧会「絵で行けるとこ 黒田征太郎展」が10月9日から始まった。大阪府立江之子島文化芸術創造センター(enoco)で31日(土)まで開かれている。

本展は、黒田さん81歳の現在地を表現したもので、初披露の作品を中心に3つの展示室で構成。展示されるのは独特の筆致で描かれた絵画226点とオブジェ46点。このうち90点が、今年8~9月にかけて制作された新作だ。黒田さんは今回、廃材を使った作品づくりに注力。アトリエのある九州で、山中に廃棄されたスクラップや錆びた鉄塊の中から「生命力」を感じたものを拾い出し、持ち帰って画材にした作品群が見どころのひとつになっている。

初日のオープニングイベントには、黒田さんとともに落語家・桂文枝さんが登壇。二人は古くからの友人で、過去には文枝さんが自身の絵本イラストを黒田さんに依頼したことも。この日、久しぶりに再会したという二人は満面の笑みでハイタッチならぬひじタッチを交わした後、お互いのことや大阪のこれからなどについて笑いも交えながらトークを展開した。

互いに相手を「つかみどころがなく、存在自体がおもしろい」と話す二人。表現者として尊敬し合っていると言い、コロナ禍における芸術について「衣食住とは違ってなくても生きていけるもの。でも人間にとって、なくてはならない大切なもの」だと力を込めた。

今後の展望を聞かれた黒田さんが「大阪はこれからもっとおもしろくなると思う。自分もその手伝いをしたい」と話すと、「自分は梅田に寄席をつくりたい」と文枝さん。「その時には壁や座席に、ぜひ黒征さんに絵を描いていただきたい」と持ち掛けると、黒田さんも快諾した。さらに、黒田さんを「才能のかたまり。こんなシュッとした81歳いてまへんで」と称賛。「しゃべりに大事なのは人。テクニックやないんです。いかに人の心に響くか、染み込んでいくか。絵もそう。黒征さんの絵は、ぐっと心をつかむ何かがある。2人の夢の寄席が実現するまで、元気で活躍してもらいたい」とエールを送っていた。

 

大阪市西区の小学生と黒田さんが一緒に作った作品が会場最寄りの大阪メトロ「阿波座」駅8番出口の壁面を飾っている

 

絵で行けるとこ〜黒田征太郎展〜

開催日:2020年10月9日(金)〜31日(土)※休館日:月曜日

開館時間:午前11:00〜午後6:00<最終日のみ午後4:00閉場>

場所:enoco 大阪府立江之子島文化芸術創造センター

http://www.enokojima-art.jp/access/

チケット料金:500円(高校生以下無料)




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カテゴリ: ライフ&アート