トアロードで美意識高い料理を味わう。
「日本酒の日」のイベント開催に向けて
【日本料理 輪(りん)】神戸・三宮
「輪」はカウンター6席と個室が一つの日本料理店、主人の山下慎士さんが店を構えて19年になる。修業時代も含めて、幾多の山や谷を乗り越えて来られただろうが、その笑顔はいつも明るい。山下さんが中心になって6年前から開催しているのが、「日本酒ゴーアラウンド神戸」。10月1日の「日本酒の日」に合わせて全国で開催されるイベントだが、昨年は中止になった。今年は11月5日~7日に開催予定で、少しでも飲食店と神戸のまちを盛り上げようと考えている。
神戸のイベントは、参加15店をめぐるスタンプラリーで、全部回ると抽選で日本酒の四合瓶が当たるというもの。参加店はそれぞれ、蔵元とコラボして料理と酒を提供する。事前に500円でバッヂとスタンプカードを購入して店に行くと、参加蔵の酒(60ml)と料理が一品出されるというものだ。(料理は有料)
山下さんは、三重の森喜酒造場「るみ子の酒」とコラボする。「輪」の日本酒が純米酒のみになるきっかけとなった酒だそうで、各地の蔵元に足を運んで日本酒を選ぶようにもなった。
お酒がなくても美味しいものを食べたいと足を運んだ日、先付は炙ったホタテ。グラスの中には、モロヘイヤにオクラのゼリー寄せ、トマトの果汁をしぼった出汁。ホタテが粘りのある野菜に包まれて、するりと喉に流れて、とてもすっきりとした風味だ。次はイチジクのフライに鶏の背肝ペースト。1羽からとれるのはほんの少しという希少部位は、濃厚な味わい。
びわ湖のマスを柚子だしに浸けて焼き、甘味のある赤万願寺のすり流しと一緒に食べる。「味付けは少しの塩だけ」というシンプルさが文句なしに美味しい。何品かをいただいた後の締めは、皮を炙ったハモが入った半田そうめん。ハモの身のモチモチした食感が新鮮な感覚で、ワサビではなく大根の辛味がアクセントだ。
器は信楽、唐津、有田などの作家物が使われているので、選ぶ基準を聞くと、「盛り付けしがいのあるもの」。魚を入れたときの器の美しさを愛でたいからと、造りにケンを入れるのをやめたとか。
山下さんはまた、店で少人数の料理教室を18年前続けている。スーパーで買える食材で作るおかずが中心で、「調味料は大切なので、化学調味料を使わず、醤油、酒、みりん、味噌なども、自然の良いものを使う」のがポリシー。プロのテクニックが間近で見られてその味も確かめることができるとあって、人気なのは当然かもしれない。
近場にある美味しい店で、プロの料理を味わうのはやっぱり「楽しい」を実感した帰り道、外はまだ明るかった。
◆ 日本酒ゴーアラウンド神戸
https://www.go-around-kobe.com/
◆ MENU(税込)
おまかせ 夜8,800円、11,000円
日本酒ペアリングコース 10,000円
昼5,500円
◆ Data
日本料理 輪
電話:078-331-7657
住所:兵庫県神戸市中央区下山手通3-12-1 トア山手フラッツ棟110
営業時間:18:00~21:00最終入店(※昼は前日までの要予約/12:00~13:00入店)
(※時短要請により当面変更)
休み:不定休
料理教室は予約制。水・土 11:30~ 参加費3,500円。
※新型コロナウイルスの感染拡大防止のため対策した上で取材・撮影しています。
※お出かけの際は府県が発表する最新情報とお店の営業状況をご確認ください。
◆ Writing / 松田きこ(ウエストプラン)
http://www.west-plan.com/