阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)内で高校野球や阪神タイガースの歴史資料を展示している甲子園歴史館が、3月3日にリニューアルオープンした。球場内の外野エリアにある従来の歴史館に高校野球と球場に関する展示物を残し、球場南側の新商業施設「甲子園プラス」2階に阪神タイガース関連の展示物を移す形で拡張され、総展示面積は約1200平方㍍から約1500平方㍍へと広がった。展示物は約200点増え、約1000点のスケールとなった。
■見どころたっぷりのタイガースゾーン 体験コーナーも充実
球場南側に新たに完成した3階建ての「甲子園プラス」は球場と陸橋で接続し、2階の歴史館新エリアは阪神タイガースに特化したゾーンに。1935年から始まる球団の歴史や、その歴史を彩ったあまたの名プレーヤーの足跡を豊富な展示資料や映像で伝える、ファン垂涎の空間となっている。
入場ゲートをくぐると、まずは1985年の日本一達成時や2003年のリーグ優勝時のペナントが出迎えてくれる。さらに球団の歴史を創設から八つの時代に分け、壁面に埋め込まれた数々の貴重な展示品や年表、映像を通して振り返り、理解を深めることもできる。
球団を代表するプレーヤーを紹介するゾーンでは、リニューアルに伴い新たに小林繁氏、赤星憲広氏、矢野燿大氏、藤川球児氏、鳥谷敬氏が加わった計24人の活躍ぶりを、各選手ゆかりの展示品とともに振り返えることができる。オールドファンから若年層まで、あらゆる世代が、お気に入りの名プレーヤーを思い起こせるゾーンとして拡充した。
実際の現役選手が使用した野球用具に直接触れるゾーンも新設され、近本光司選手のヘルメットや梅野隆太郎選手のミットなどがずらりと並ぶ。VRゴーグルを装着してリリーフカーからの実際の景色などを体感できるコーナーもあり、五感を通じてタイガースや球場の魅力を体験できる。
甲子園球場を再現したシミュレーション野球施設「BE-STADIUM KOSHIEN」も誕生。実際に行ったバッティングやピッチングが、CGで再現された甲子園球場が映る大型スクリーンに反映され、甲子園で野球をしているような気分が味わえる。
■従来の歴史館も展示を一新
一方、球場内の外野エリアにある従来の歴史館も展示内容を一新。「始まりの一球」ゾーンでは、第1回全国中等学校優勝野球大会(現在の全国高等学校野球選手権大会)の第1試合で実際に使用されたボールが、より象徴的な手法で展示されている。「名勝負ギャラリー」では、「松山商の奇跡のバックホーム」「100回記念大会の金足農旋風」など、新たに7タイトルが加わった22の名勝負を映像や資料と共に紹介している。
■球団レジェンドも駆けつける
リニューアルに先立ち、3月1日に行われた内覧会では、球団OBの藤川球児氏と岩田稔氏が訪れた。新たに加わった自身の展示ゾーンを見学した藤川氏は「現役生活をただ必死にやってきたので、ここに展示されている自分はどこか“別の世界”の存在のように見える」と振り返りつつ、「必死でやれば、現役を終えた後に必ず周りの方は見ていてくれる。現役選手には『今じゃないんだぞ』と言いたい。あと10年、20年すれば評価がもらえるから、必死に頑張ってほしい」とメッセージを送っていた。
■甲子園エリアに新たなにぎわいをプラス
「甲子園プラス」には、1階にハンバーグ「津の田ミート」、オムライス「北極星」ほか飲食店も加わり、関西初出店となる大型野球用品専門店「スタンドイン 甲子園」もオープン。3階にはロボットプログラミング教室「プログラボ」など、子どもの新たな体験時間を提供する施設も登場している。甲子園プラス誕生にあたり、阪神電気鉄道の担当者は「野球のゲーム開催日以外も、家族や友人と気軽に訪れ、新たな楽しさやにぎわいを『プラス』できる施設となった。甲子園エリア全体を盛り上げていきたい」と話している。