【フレンチレストラン「Sonore(ソノール)」】青森・十和田市
桜前線が北上して津軽海峡を渡る頃、遅い春をたずねて青森へ向かった。目的地は、奥入瀬渓流沿いにある「星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル」。美味しいと評判のフレンチレストラン「Sonore(ソノール)」で料理とワインのペアリングを味わう以外はのんびりと過ごす女子旅だ。
青森県十和田市、八甲田山の南にある十和田湖から流れ出るただ一つの川が奥入瀬川で、流出口から約14km先の十和田橋までが奥入瀬渓流と呼ばれている。渓流はブナやカツラをはじめとする落葉広葉樹林の森の間を流れ、湿り気を帯びた大地には多種類の苔が育つ。この美しい自然の中にあるホテルが「星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル」だ。Sonoreとは、フランス語で「朗々と響かせて」という意味の音楽用語。渓流の瀬音だけでなく、旬の食材やワインが心身に響き渡るという意味が込められているらしい。ワインセラーに、ブルゴーニュやボルドー産を中心に、約150種類・2000本の希少なワインが並ぶのを見ると、どんなふうに料理と共鳴するのか、ますます楽しみになってくる。
アペリティフは5種類のアミューズと食前酒。アミューズそれぞれに手が込んでいて、もうこれだけで満足なのに、食前酒のシャンパーニュがほどよく胃袋を刺激してくれる。
2品目は、青森の郷土料理「イガメンチ」をアレンジした小前菜。旨みの強い胴の部分をたたいて丸め、カラリと揚げたもの。昆布だしがきいた筍と海苔のソースは若竹煮を連想させて、「シャトー・バ トンプルロゼ2018」のさわやかな味とも絶妙なバランスだ。
Sonoreでは必ず鮪を使った冷前菜が提供され、春のメニューは「鮪 春キャベツ」。春キャベツのチュイルの下には、魚醤のタレをからめた鮪と火入れした長芋、とろりととろけるウズラたまごの温玉。魚料理ながらペアリングは白ではなく赤で、「ドメーヌ・グランド コート・ド・ジュラ ピノ・ノワール 2018」のなめらかな酸味と果実の香りが鮪の旨みを引き立てる。この後さらにもう一品の冷前菜、二品の温前菜、魚料理、肉料理と続いて、アヴァンデセール「雪の下人参」の甘みのある人参のピューレとカルダモンのグラニテですっきりと。
締めのデセールは「苺 ピスタチオ」。甘酸っぱいイチゴと濃厚なピスタチオを組み合わせた逸品に、「ミシェル・シャプティエ バニュルス リマージュ 2019」の芳しい香りが長い余韻を残す。
ワインの説明を聞いてひと口飲んで料理を食べ、そしてまたワインを飲む、それを繰り返すごとに、ワインが料理の味を引き立て、小さな驚きをたくさん感じた。夕暮れから月明りが照らす夜まで、窓の外の木々の色が変わる様子を眺めながら、たっぷり2時間のフルコースは、ゆったりと充実した至福のひとときだった。
◆ MENU(税込)
春限定メニュー
期間:2022年4月15日~7月19日
料金:1名 22,780円(税・サ込)※時期により、提供内容、食材の産地が異なる
公式サイトより3日前までに要予約
レストラン利用は宿泊者(小学生以上)のみ。
◆ Data
フレンチレストラン「Sonore(ソノール)」
電話:0570-073-022(星野リゾート予約センター)
住所:青森県十和田市大字奥瀬字栃久保 231
星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル 西館1階
営業時間:17:30~21:00
◆ Writing / 松田きこ(ウエストプラン)
http://www.west-plan.com/
※新型コロナウイルスの感染拡大防止のため対策した上で取材・撮影しています。
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