飯森範親  ハイドン「全104曲マラソン」を完走
3/21(金) 大阪でファイナル公演 日本センチュリー交響楽団

日本センチュリー交響楽団首席指揮者の飯森範親と同楽団が10年がかりで続けてきた「ハイドンプロジェクト」が、3月21日(金)19時からのザ・シンフォニーホール(大阪市福島区)での公演で完結する。オーストリアの古典派を代表する作曲家ハイドンによる全104曲を演奏し、ライブ録音する大プロジェクト。21日はハイドン最後の交響曲「ロンドン」などを演奏し、高らかに歌い上げる合唱とともにファイナルを飾る。

「ハイドンマラソン」のフィナーレに向けて意欲を話す飯森範親

「交響曲の父」とも称されるフランツ・ヨーゼフ・ハイドン(1732~1809年)。形式美と創造性のバランスに優れ、ソナタ方式を確立するなどバロック音楽からの脱却を試みて高い評価を受けるハイドンだが、交響曲の全曲を演奏し音源化する取り組みは世界的に見ても数少なく、「ハイドンマラソン」は極めて意欲的なチャレンジと国内外から注目を集めてきた。飯森は、「ハイドンで培われた音楽性は今の私たちの中に脈々と生きている。作曲家が表現したかったことを時代やスタイルに合わせて変化させながら、しっかりと受け継いでいくのは、音楽家、指揮者として使命だと感じていました」と動機を振り返る。

ハイドンマラソンは2015年6月(「交響曲第35番」)などからスタート。2020年1月の第18回までは住友生命いずみホール、同年6月の第19回からはザ・シンフォニーホールへと会場を移し、21日で合計38公演を数えることになった。新型コロナウイルスの感染防止のため、楽団員の間隔を空けて演奏したこともある。番号順に演奏することはせず、選曲で趣向を凝らしたのも、聴衆に毎回楽しんでもらいたいとの飯森流のこだわりからだ。フレーシングや音の表現などを音節ごとに楽譜に細かく書き込み、楽団員と綿密に対話を重ねながら、現代のセンチュリー響だから打ち出せるハイドン像を探り続けた。「ハイドンは一番難しいけど、一番楽しい。そんなことを気付かせてくれました。ハイドンには壮大な交響曲の原点があり、アイデアの宝庫。厳しい時を一緒に乗り越え、楽団員にも応用力がついたと感じます」と飯森は語る。

「ハイドンマラソン」をともに作り上げてきたと語る飯森範親(中央)、日本センチュリー交響楽団副首席の内藤謙一(コントラバス、右)、プログラムやCDの曲目解説を担ってきた音楽評論家の小味渕彦之氏(左)

21日は、ハイドンの第84番に続き、モーツァルトのアヴェ・ヴェルム・コルプスとレクイエム ニ短調「ラクリモザ」を演奏した後、第104番「ロンドン」で締める。ハイドンが渡英した際に作曲した最後の大作で、プロジェクトを完走する飯森が自身の姿を重ね合わせての熱演になりそうだ。飯森は「楽団員、スタッフが一人でもいなかったら成し得ませんでした。一生忘れることのない感謝をいっぱい詰め込んで演奏をお届けしたい」と話している。

A席5千円、B席4千円。予約・問い合わせは電話06・6848・3311、センチュリー・チケットサービスへ。ライブ録音した「ハイドン交響曲全集CD」については、オクタヴィア・レコードへ。

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