昨年12月、川西市では前例のない本格的な自転車オフロードレースが行われた。キセラ川西に1周約500mのコースを設置し、約50人が競技を楽しんだ。
同市を拠点に若手自転車選手を育成する「コラッジョ川西サイクリングチーム」が主催。中高生を中心に21人の選手が所属する。代表の栂尾大知(とがおたいち)さん(川西市・32)は長年プロで活躍した自転車レーサーだ。レースを後援した川西市文化・観光・スポーツ課の担当者は「コラッジョと行政一体で、川西の自転車文化を盛り上げたい」と期待する。自転車ブームの今、自転車を通じて街の活性化をねらう自治体や旅行会社は多い。栂尾さんはそのアドバイザーとして引く手あまたの存在だ。
「自転車ライディングスクール」は、市民のマナー向上を目指す自治体から特にニーズが高い。栂尾さんやチーム選手が、正しい乗り方をアドバイス。選手の一人、新開隆人(りゅうじ)さん(17)は「小学生から大人まで様々な人を教えられる貴重な経験。地域貢献できているならうれしいです」。兵庫県作成のサイクルマップにもアドバイス。栂尾さんが実走して確かめた、川西、伊丹、宝塚などを走る4コース。走りやすい、無理なく渡れるなど、サイクリスト目線でコースを設定した。
街を動かす力が自転車にはあると信じる。「自転車競技が盛んな宇都宮市は、億単位の経済効果があるイベントを開催している。僕たちも地道に活動を続け、より地域に必要とされる存在になります」。12月のレースを成功に導き、手ごたえをつかんだ。夢は、県を一周する「ツール・ド・兵庫」の開催だ。
(伊藤真弘)