【ストークス通信③】B1昇格! 西宮ストークス B2王者へ向け5/20(土)に最終決戦

 プロバスケットボールBリーグ2部(B2)を戦う西宮ストークスは、5/12に行われたB2プレーオフ準決勝第2戦で、群馬クレインサンダーズ(B2東地区1位)に70-60で勝利を収めて決勝へ進出。同じく決勝へとコマを進めた島根スサノオマジック(B2西地区1位)とともに、Bリーグ1部(B1)へ自動昇格する2チームの中に入ることが確定。来季B1への昇格キップを、ついにつかみ取った。

 

 Bリーグ元年、B2の「頂(いただき)」へ。ついにコウノトリたちが飛翔した。先に2勝したチームが決勝進出=B1昇格となるレギュレーションで臨む準決勝。前日の第1戦を68-59で勝利し、昇格へ王手をかけて臨んだ第2戦も、選手は気負うことなく普段どおりのプレーに徹し、大事な一戦の流れを力強くたぐり寄せた。

 

 困った時に“よりどころ”がある集団は、やはり強い。序盤や中盤、シュートが決まらず重苦しい雰囲気になる時間帯が何度も訪れたが、シーズンを通して実践してきた積極的なディフェンスからのボール奪取、速攻、そして全員が走るバスケを展開。天日謙作コーチが「リアクション(相手に合わせて反応)するのではなく、(自ら仕掛けて)アクションするディフェンスをしよう、と。選手がそれをよく理解し、取り組んでくれたことが結果につながった」とゲーム後に振り返ったように、「流れが悪ければ、ディフェンスからリズムを作る」というチームコンセプトが全選手のプレーに浸透。しつこく泥臭い上に、コレクティブなディフェンスは相手をあわてさせ、疲弊させた。出色のプレーを随所で披露し、この日のMVPに輝いた梁川禎浩選手の3ポイントシュートが局面で決まったこともゲームの大勢を決定づけた。終始リードを保つ盤石の試合運びで、最終クォーター、試合終了を告げるブザーが鳴ると、熱狂的なファンが陣取るゴール裏だけでなく、客席のあらゆる方向から祝福のテープがコートに投げ込まれた。

ゲーム終了 歓喜の瞬間

 2年前からストークスを応援する青山輝也さん(西宮市)は「本当にうれしい。阪神タイガースの応援にもよく行くが、ストークスのゲームは甲子園球場にも負けない一体感を味わえるから最高!」と声を上げ、「このところ、敵地でのゲームも続けて観戦して出費がかさむが(笑)、(B2優勝をかけた東京での)プレーオフ決勝戦も必ず応援に駆け付ける」と話した。

 B1昇格を決めたと同時に、B2王者を争う決勝戦を戦う資格を得た。天日コーチは「決勝を前に良いゲームができた。失点も少なく、またワンステップ上に行けたと思う。ちょっと休んで、決勝へ向けた練習を始めたい」。中心プレーヤーの一人、道原紀晃選手は「B1で戦いたいという気持ちが、コートの中で自然と出てきた。最後(決勝戦)一番大事なところで、一番いい結果が出ればいい」と、最終決戦での勝利を誓った。B2優勝チームを決めるプレーオフ決勝戦は5/20(土)東京・国立代々木競技場第二体育館であり、島根スサノオマジックと対戦する。

<取材後記>

 この日は、キープレーヤーの谷直樹選手が5回のパーソナルファウルを犯して途中退場するも、チームはあわてなかった。「チームの誰が出てもやることは決まっている。それを徹底して(年間)60試合を戦ったことが、最後も発揮できた」と梁川選手がゲーム後の会見で振り返ったように、ストークスがシーズンを通じて積み重ねてきた「強み」の数々が、コート上で光ったゲームだった。

 監督、選手の記者会見が終わり、荷物をまとめようと会見場から再び会場に戻ると、ストークスの「シーズンを通した強み」をもう一つ見つけた。会場の撤収作業を行っていた「チームボランティア」だ。

 撤収だけではなく、ゲーム当日は開場してからの接客対応でも、そのマンパワーはチームに必要とされる。最も労苦を要するのは設営作業だろう。通常は全面板張りの西宮市立中央体育館に、バスケットゴールの設置をはじめ、コート範囲を示すラインテープを施したり、特設のひな壇を作ったり、椅子を並べたりと、開催ごとに「バスケットボール会場」として準備する。聞けば、ゲーム前日の朝から始めて、その日の夕方まで、設営にはほぼ1日を要するという。年間を通じて、ホームゲーム30試合分の「設営」「撤収」を行ってきたことを想像すると、チーム関係者ならずとも、感服せずにはいられなかった。

 ボランティアのリーダーを務める岸信さん(西宮市)は「西宮、バスケ、そしてチームが大好き。お客さんの目線で、次も来たいと思わせる会場にしたい!という思いが、ボランティア一人ひとりに浸透しているのが強みだと思います」。この日は、観戦を終えたファンが数人、ボランティアとして飛び入り参加してくれたと紹介してくれた。「先日の敵地観戦ツアーで知り合った人たち。(ストークスを通じて)たくさんの人とつながれる。それもうれしいですね」

 

 時計は午後10時を指していた。B1昇格の熱気と興奮がまだ残る会場では、ゲーム終了後1時間を過ぎても撤収作業が続いていた。たくさんの人たちの「ストークス愛」が空気として流れる西宮市立中央体育館は、来季、B1の舞台となる。その空気を胸いっぱい吸い込み、躍動する選手たちの姿に思いをはせ、会場を後にした。(伊藤真弘)




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