来シーズンのバスケットボールBリーグ1部(B1)の昇格を果たした西宮ストークス。チームを運営する兵庫プロバスケットボールクラブの代表取締役社長・福島潤さんが6月30日、兵庫県立尼崎小田高等学校で「今後のスポーツマーケットと地域連携について」の特別授業を行った。
同校の普通科に2013年設置された「看護医療・健康類型」では、看護医療分野や健康スポーツ分野に関心のある生徒が学んでいる。今回、同類型の科目「スポーツマネジメント」の講師として招かれ教壇に立った福島さんは、将来スポーツに関する仕事に就きたいとの思いでこの科目を選択している生徒に向け、熱弁をふるった。
「プロ野球は1600億円、Jリーグは1000億円。それに比べてBリーグの市場規模は、現状で80億円。まだまだ小さいですよね? でも逆に小さいからこそ、今後伸びるチャンスが残されているのです」。50分×2コマにわたる授業は、約60枚のスライドを用いて展開。プロスポーツチームを取り巻くステークホルダーにはどんなものがあるか?を生徒と共に考えるなど、双方向スタイルも取り入れて行われた。
授業が進むにつれ「なぜスポンサーは、チームにお金を出資してくれるのか? そのねらいは?」など内容は深みを増し、チーム運営のやりがい、苦労話、また地道な活動による地域連携の大切さについても話題が及んだ。スポーツビジネスの最前線に立っての実感や経験を交えた、他では聞けない授業内容に、生徒たちはうなずき、さかんにメモの手を走らせた。
受講した生徒の一人、三宅文波(ぶんぱ)さん(18)は「『(所有に価値を見出す)モノ消費から、(スポーツをはじめ体験に価値を見出す)コト消費へ』という消費のトレンドを福島さんに教えていただいた。将来はスポーツメーカーで活躍したいので、覚えておきたい」と目を輝かせた。今後生徒たちは、「スポーツマネジメント」の授業で得た知識を生かし、地域を巻き込んだスポーツイベントの企画及び実施に取り組んでいくという。
「スポーツマネジメント」の授業を担当し、今回福島さんを講師に招聘した同校教諭の前田浩介さんは「プレーヤーとして、また経営者として、福島さんがかかわるチームはすべて成功を収めている。スポーツをする側から支える側へと変わっても、そのたびに夢や目標を達成してきた福島さんの話を通じて、様々なスポーツへのかかわり方があることを生徒には知ってほしかった」と、今回の特別授業のねらいを話した。
授業を終えた福島さんは「話を聴いてくれた生徒が、今後それぞれスポーツ業界で活躍する時、今日の話を少しでも思い出してくれたらいい」と振り返り、「今日のように(地域に向けて)何かできることがあれば、いつでも出向く準備をしている」と、兵庫県下での地域アプローチを今後も継続して行っていく姿勢を示した。
西宮ストークスは、バスケットボールを通じて子どもたちや地域を元気にする「地域自生」をチーム理念の一つに掲げている。コート上はもちろん、コートを離れてのこうした取り組みにも、ますます注目していきたい。(伊藤真弘)
【ストークス通信】では、西宮ストークスの今と、西宮ストークスのある街の風景を追います。