6月4日(金)から全国54館で公開されるシネマ歌舞伎「鰯賣戀曳網(いわしうりこいのひきあみ)」(作:三島由紀夫、製作・配給:松竹)は、十八世中村勘三郎と坂東玉三郎がおくるコミカルでハッピーな恋物語だ。
鰯売りの猿源氏(勘三郎)は五條橋で見かけた傾城蛍火(玉三郎)に一目惚れ。たちまち恋の病にかかり、自慢の売り声にも力が入らない。そこで猿源氏の父・海老名なあみだぶつ(坂東彌十郎)は、猿源氏を大名に仕立てて蛍火のいる揚屋へ向かうことを提案。博労六郎左衛門(七世市川染五郎=当時、現・松本幸四郎)とともに家来に扮して揚屋へやって来たのだが……。
三島由紀夫が生涯に残した6作品の「三島歌舞伎」の中で、唯一おとぎ話のような明るい作風が特徴で、初演は1954(昭和29)年歌舞伎座。十七世勘三郎と六世歌右衛門で上演を重ねてきた人気の作品だ。
十八世勘三郎(当時は五世勘九郎)と玉三郎の初顔合わせでの上演は1989(平成元)年11月の歌舞伎座。その後、二人で8度にわたって上演してきたが、今回、シネマ歌舞伎となったのはその最後、2009(平成21)年1月歌舞伎座さよなら公演の舞台だ。近年では勘三郎の息子たち、勘九郎が猿源氏を、七之助が傾城蛍火を演じている。
シネマ歌舞伎では、今ではもう生で見ることがかなわない、愛嬌たっぷりの勘三郎の表情やおどけたしぐさがスクリーンによみがえり、玉三郎のまなざしやハッと息をのむ瞬間、豪華な衣装の細部までが鮮やかに映し出される。
映画には本編のシネマ歌舞伎が始まる前に、玉三郎が作者・三島由紀夫や勘三郎との思い出を、若き日の映像を交えて語る特別インタビュー映像も収録されていて興味深い。通常料金は一般2,200円、学生・小人1,500円。
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