【大阪4オケ共同記者発表報告②】新拠点・門真から多彩な音楽に挑む関フィル/センチュリー響は送迎バス運行や学生に破格の年間パスポート

昨年11月に開かれた大阪の4つのオーケストラの共同記者発表会報告の後編。関西フィルハーモニー管弦楽団と日本センチュリー交響楽団の2022年度シーズンプログラムの概要と、大阪の春を彩る「4オケ祭」を紹介する。

 

【大阪4オケの2022年4月-23年3月シーズンの概要】

■関西フィルハーモニー管弦楽団は貴志康一「仏陀」を38年ぶりに演奏

2020年に創立50周年を迎えた関西フィルハーモニー管弦楽団は、21年に楽団の練習拠点を門真市に移し、市と「音楽と活気あふれるホームタウンパートナー協定」を結んだ。音楽監督は世界的ヴァイオリニストのオーギュスタン・デュメイ、首席指揮者は藤岡幸夫、飯守泰次郎が桂冠名誉指揮者を務める。23年には8年ぶりのヨーロッパ公演も予定している。

関西フィルハーモニー管弦楽団のシーズンプログラム。定期演奏会(全10回)、住友生命いずみホールシリーズ(全3回)ほかの公演情報が載っている

ザ・シンフォニーホールでの定期演奏会で、デュメイが奏でるヴァイオリン協奏曲は5/20(金)第328回がメンデルスゾーン、9/22(木)第331回がバルトーク、11/10(木)第333回がブラームス。住友生命いずみホールでの主催公演ではベートーヴェンやモーツァルトを取り上げる。

来シーズンの藤岡は、日本人作曲家に着目。6/11(土)第329回はソリストに渡邉康雄を迎えて松村禎三のピアノ協奏曲第1番を、10/28(金)第332回には1934年にベルリン・フィルが世界初演し、半世紀後の84年に関フィルが日本初演した貴志康一の交響曲「仏陀」を演奏する。会見で藤岡は「ずっとやりたかった曲がやっとできる! とてもうれしい」と興奮気味に話した。同日、楽団コンサートマスターの岩谷祐之が伊福部昭のヴァイオリン協奏曲第2番に挑む。「彼のヴァイオリンは悪魔が宿っているよう。期待してください」と藤岡。

シーズン締めくくりの23年3/30(木)第335回には飯守が登場。チャイコフスキーの弦楽セレナーデと交響曲第5番を届ける。

関フィルは、25歳以下の学生を対象に、年間10回の定期演奏会をクワイア席でお得に聴ける学生会員(年会費6,000円、チケット当日引き換え)を用意している。

関西フィルハーモニー管弦楽団公式ホームページ https://kansaiphil.jp/

 

■若い演奏家をフィーチャーする日本センチュリー交響楽団

豊中に本拠を置く日本センチュリー交響楽団の来シーズンの定期演奏会は「日本人の若手実力派の演奏家たちにたくさん登場してもらう」ことを主眼に置いたプログラムで、ショパンコンクール2位入賞の反田恭平らが出演する。首席指揮者・飯森範親、首席客演指揮者・久石譲、ミュージックアドバイザー秋山和慶が登場する定期演奏会の内容はすでにこのサイトで紹介しているので、ここをクリックして確認してほしい。

日本センチュリー交響楽団のイヤーブック。定期演奏会(全9回)、ハイドンマラソン(全4回)、豊中名曲シリーズ(全4回)ほかの主催公演情報などを掲載

飯森が挑むハイドンマラソンは8年目。「ひと聴きぼれ」をコンセプトにした「豊中名曲シリーズ」は喜怒哀楽をテーマとする。

昨年7月に楽団の新理事長に就任した桜井博志さん(旭酒造代表取締役会長)は「お客様ファースト」を貫く実業家。コロナ禍で、定期演奏会の会場、ザ・シンフォニーホールへ行くのに公共交通機関をいくつも利用することをためらう高齢ファンの声に応えてJR大阪駅からホールまでの送迎バス(大型60人定員)を、公演当日の開演前後に2便ずつ運行させる。運賃は個人会員無料、その他は有料100円。

一方で、若い音楽ファンを育てようと2種類のサービスを始める。

25歳以下の「学生年間パスポート」は年間5,000円。センチュリー響と、飯森がミュージックアドバイザーを務める東京ニューシティ管弦楽団(4月からパシフィックフィルハーモニア東京に改称)のイヤーブックに掲載された全公演が聴き放題となる(各公演限定100席。事前予約の上、当日引き換え)。申し込み・問い合わせは電話で。

センチュリー・チケットサービスTEL06-6848-3311(平日 10:00~18:00)

また、1987年4月2日以降に生まれた35歳以下の人を対象とする「U-35席」は、センチュリー響の定期演奏会(全9回)を12,600円で楽しめるプラン。マイシートをB席、C席から選んで申し込める。

日本センチュリー交響楽団公式ホームページ https://www.century-orchestra.jp/

■4/16(土)14時開演 大阪の春を彩る「4オケの4大シンフォニー」

「第60回大阪国際フェスティバル2022」としてフェスティバルホールで開かれる大阪の春を彩る「4オケ祭」は、副題(ニックネーム)のついた交響曲を特集して届ける。

「4オケの4大シンフォニー」のチラシ

明るい気持ちで先頭バッターを務めたい」と話した藤岡幸夫が率いる関西フィルハーモニー管弦楽団は、シューマンの第1番「春」を。

大阪交響楽団は名誉指揮者・外山雄三の指揮で、モーツァルトの第41番「ジュピター」を。大阪フィルハーモニー交響楽団は音楽監督・尾高忠明の指揮でチャイコフスキーの第5番を演奏する。会見で「この曲は、亡くなられる10カ月前に斎藤秀夫先生に初めて褒められた思い出の曲」と明かした。

最後に登場する日本センチュリー交響楽団は、ミュージックアドバイザー秋山和慶の指揮でドヴォルザークの第9番「新世界より」を届ける。

いずれの名曲も演奏会でメインの曲となる堂々の交響曲。気力を充実させて耳を傾けたい。

S席9,500円、A席7,500円、SS席11,000円、BOX席15,000円、バルコニーBOX席(2席セット)19,000円、学生席3,500円。

詳しくはコチラ https://www.festivalhall.jp/program_information.html?id=2684

 




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