現代演劇の第一線を走り続けるケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)が2001年に作・演出を手がけ、“ホラー・コメディー”と絶賛された舞台「室温~夜の音楽~」が、7月22日(金)~24日(日)、兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール(阪急西宮北口)で上演される。主役を務める古川雄輝がこのほど大阪市内での取材会に参加。今作にかける思いを語った。
田舎で二人暮らしているホラー作家・海老沢十三(堀部圭亮)と娘・キオリ(平野綾)。12年前に殺害されたキオリの双子の妹、サオリの命日の日に、さまざまな人々が海老沢家に集まって舞台は進む。巡回中の警察官(坪倉由幸)、海老沢の熱心なファン(長井短)、タクシー運転手(浜野謙太)が転がり込む中、焼香をしたと訪ねてくる加害少年の一人、間宮を古川は演じる。それぞれの奇妙な関係が交錯し、やがて浮かび上がる過去の真相。演出には“演劇界の奇才”河原雅彦を迎え、人間が潜在的に秘める善と悪、正気と狂気の相反する感情を、恐怖と笑いを織り交ぜた独創性ある世界観で描き出す。
今年は上半期だけで4本のテレビドラマに立て続けに出演するなど大活躍の古川。舞台は3年ぶりとあって、「緊張とワクワクの両方の感情があります。前回の舞台に続いて主役をいただけて、とてもうれしい」と率直に語る。
コロナ禍を経て、久しぶりのリアルな舞台。「ちょっと怖くてシリアスなシーンでも、思わずクスッと笑ってしまうのがこの作品。演じる人によって間合いは変わるし、客席の笑い声を含めて、舞台は完成します。お客さまの目の前でできるのはとてもありがたいと思います」
今回は罪を犯した青年役。善と悪が相反する人間の感情については「僕にもこだわりが強いあまり、これは譲れないと狂気的に思ってしまうところもある」と想像。「俳優は常に発見と学びがある仕事。毎日、壁にぶち当たっているが、声や手足の先まで細かい芝居を研ぎ澄まし、少しでも成長した姿を見ていただきたい」と気合を入れる。
初演から21年の時を越えた話題作の進化にも注目。河原がたっての希望で指名した在日ファンクの生演奏による音楽もファンキーでディープな雰囲気を盛り上げる。「非常に魅力的な共演者と観客の皆さんと一緒にいい作品をつくり上げたい。ぜひ遊びに来てほしいですね」と古川は誘う。
22日は18時30分、23日は正午と17時、24日は正午の4公演。A席9,500円、B席7,500円(全席指定、税込み)。予約・問い合わせは℡0798・68・0255、芸術文化センターチケットオフィス(10~17時、月曜休み)へ。