聴覚を失いながらも、交響曲からピアノ・ソナタに至るまで数々の名曲を残したルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが作曲した珠玉の音楽とともに、美しく繊細なダンスで、彼の壮絶な人生を描いた現代バレエ「ベートーヴェン・ソナタ」が7月16日(日)・17日(月・祝)に兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホールで開かれる。
本作は、オランダを拠点にダンサー・振付家として活動し、現在は新国立劇場など日本各地において創作を行う振付家・中村恩恵の代表作。2017年に新国立劇場バレエ団で初演されたこの作品を本公演用に改訂演出し、貞松・浜田バレエ団版の新たなバージョンでお届けする。
中村は、ベートーヴェンが日記の中で自分自身に「お前」と語りかけていることに着目。「ベートーヴェンの精神みたいなものが未だに精神として生きていて、その精神が200年以上前に生きていた自分に向かって『お前それでいいのか』と語りかけて再検証しているような役割分担をしたい」と考え、ベートーヴェンの精神である“ルードヴィヒ”役、その記憶の中で生きていく“ベートーヴェン”役の2人のダンサーを配役し、対話のような形の構成で作品を作った。
作品では2人のベートーヴェンと共に、銀行家の妻アントニエ、貴族の令嬢ジュリエッタ、義妹ヨハンナの3人の女性を中心として物語を進めていく。「通常のバレエの舞台では、主役の女性は1人で、1人のパートナーと共に物語を進めていく。3人の女性と物語を展開するのは挑戦的なことだけれど、それによって女性や男性の様々な側面が見え、作品に奥行きができるんじゃないかと考えた」と中村は話す。
ベートーヴェン役の水城卓哉は、「ベートーヴェンの生涯を学びリハーサルを重ねていくと、今まで聞いてきた彼の音楽がより鮮明になるというか解像度が上がるような感じになってきた。自分たちが踊る姿を通して、皆さんも似たような体験をしてほしい」と意気込みを見せた。
作品では、ヴァイオリン・ソナタ第5番「春」、ピアノ・ソナタ第14番「月光」、弦楽四重奏曲第9番「ラズモフスキー第3番」、交響曲第7番など、特別録音による音源を使用する。
貞松・浜田バレエ団「ベートーヴェン・ソナタ」
2023年7月16日(日)・17日(月・祝)開演15:00(予定上演時間約2時間、休憩含む)
兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
A席5,000円、B席4,000円(全席指定、税込み)
※未就学児入場不可
※開演20分前から「中村恩恵によるプレトーク」を予定
チケット購入・問い合わせは℡0798-68-0255、芸術文化センターチケットオフィスへ(10~17時、月曜休み)