松山バレエ団は「くるみ割り人形 全幕」を11月16日(土)15時から、大阪市北区のフェスティバルホールで上演する。同バレエ団の大阪公演は2年ぶり。チャイコフスキーの親しみやすいメロディーに乗せて、お菓子の国など華やかな場面が続く名作を、森下洋子さんの主演で、平和への思いを込めて贈る。
初演から43年目を迎える「くるみ割り人形」。少女クララが、魔法で姿を変えられたくるみ割り人形の中に秘められた魂の輝きに気づき、大切に愛することで人形の魔法を解き、王子を元の姿に戻す物語。王子との出会いと別れを通じて、クララの心の成長が描かれる。クララの美しくひたむな愛を森下が繊細に演じ、同バレエ団が総出演する代表的演目の一つとして長く親しまれてきた。11月の公演では大阪の子どもたちが出演する場面もある。
19世紀ヨーロッパの困窮した世相の中、少しでも手を取り合おうとする家族とクララの一途な愛。同バレエ団では2011年の東日本大震災以来、戦争や災害など人と人が引き裂かれる状況にあって、屈することなく、未来を切り開こうとする人たちの心の輝きを表現しようと、毎年演出を磨きあげてきた。世界各地で戦争が頻発し、能登半島で地震や水害が相次いだ今年の大阪公演は、平和と愛、希望へのメッセージをさらに強く託す舞台になりそうだ。
台本・演出・振付は清水哲太郎、主演は森下洋子、大谷真郷、演奏は大阪交響楽団、指揮は末廣誠。SS席17,000円、SS席(子ども)8,000円、S席14,000円、A席9,000円など。問い合わせは、電話06・6231・2221、フェスティバルホールチケットセンター(10~18時)へ。