生本マグロの多彩な料理にワインを合わせて
【鮪達人】大阪・南森町
飲み会を自粛しないといけない日が来るなんて、考えたこともなかった。家での一人飲みも好きだけど、あのシェフのあの料理が食べたいなぁと思うことも多々ある。世の中の状況が落ち着いたら、好きな店を順番に行かなくては。そんなとき、なんとなくつけていたテレビにマグロの一本釣りの光景が映っていた。そうだ、飲み会が復活したらあの店だ!
大阪天満宮のすぐ近く、何度も通っている道だけどまったく気付かなかった店「鮪達人」。メニュー表示はあるけれど、目をひくような看板は見当たらない。ここかな、とのぞいた時にたまたまドアが開いて、目的の店だとわかった。
入り口はお茶室のにじりぐちのよう、というと大げさだが、かがまないと入れない高さ。店内は円形のカウンターと4人がけのテーブル席が一つだけ。看板も出ていなければ、電話番号も公開されていない店なのだ。
社長の鈴木賢志さんとは、日本酒の会で、マグロの解体ショーを国内外でやっている和歌山の企業だと紹介された。直営店が大阪にあると聞いて、早春の頃に訪ねたのだった。店で使うのは生本マグロと生キハダマグロで、マグロづくしのコース料理が食べられる。「季節を感じられる旬の野菜と組み合わせています」と、料理長の赤埴勝浩さん。コース料理ならと、お酒は料理長お任せのマリアージュプランにした。
始まりは酒肴盛り合わせから。生ハムは味醂と醤油に漬け込んだソフトな味、生ツナは低温調理でしっとりと。ひと口つまむごとにグラスに口をつけると、オーストリア・マインクラングの微発泡のロゼがさわやかだ。マグロの造り3種盛りには日本酒をということで、きりっとした切れ味、奈良の三諸杉。そし生マグロがとれる和歌山の地酒・紀土のピリッと引き締まった味を楽しんだ。
春野菜炊き合わせ、アワビと本マグロの旨煮、道明寺蒸しと続き、ステーキには赤ワインをすすめられた。上品なピノノワールの味がマグロの旨みにそっと寄り添う。
ラストは握り寿司。マグロだけでなく、アワビやエビもあって、おなかいっぱいなのに口に入れてしまう。実はこのタイミングで、好きなだけ寿司を握ってもらえるのだ。大食いの人が来たらどうするんだろう…という心配は「マグロは大きいから大丈夫」笑い飛ばされた。
カウンターはやっぱり特等席。ときには、ここでマグロの解体イベントをやることもある。そのときは、かぶりつきで見て、食べることにしよう。あー、早く食べに行きたい。
◆ テイクアウト情報!
マグロ丼 1,500円
本マグロ三位一体丼 2,600円
マグロ・イクラ・雲丹丼 2,600円
‟極”丼 5,000円
生ツナ、ホルモン、寿司、オードブルもあります
※販売時間11:00~18:00 要電話予約。売り切れ次第終了
◆ MENU(税別)
コース 12,000円、20,000円、30,000円
マリアージュプラン 3,000円(3杯)、7,000円(7杯)
◆ Data
鮪達人 天神店
電話:090-4283-1235 ※要予約。イベントの予約もこちらから
住所:大阪市北区東天満1-11-1 東天神ビル1F
営業:17:00~22:00(開始は19:30まで)
休み:不定休
◆ Writing / 松田きこ
(株)ウエストプラン代表。兵庫県西宮市在住。食・観光・人物取材に日本中を飛び回る。ライター歴20年以上。編著書「神戸・阪神間 おいしい酒場」「くるり西宮・芦屋・東灘・灘」「くるり丹波・篠山」他
http://www.west-plan.com/