朝酒の背徳感に酔いしれて
【朝呑み 楽酒】神戸・元町

関西・オンナの美酒佳肴

朝酒の背徳感に酔いしれて

【朝呑み 楽酒】神戸・元町  

長い付き合いのライター仲間、かよこさんから話を聞くにつけ、行きたい、飲みたい思いが募っていった元町の立ち飲み。かよこさんのSNSを見る限り、雰囲気もおしゃれだし、料理も凝ってそう。なにより、朝9時から開いているということにそそられる。そして先日、仲間の都合が合って女性ライター4人で、平日朝9時半の集合となった。

モーニング600円(税込)

集まるなりかよこさんがオーダーしてくれたのは「モーニング」。お酒とおつまみ5種のセットがなんと600円! お酒はビール・チューハイ・ハイボール・日本酒から選べるので、まずは全員生ビールから。おつまみは日替わりで、お造りや総菜などの手作りの料理が出てくる。この日は、玉子焼きに焼き魚、ちくわの磯部揚げ、キュウリの浅漬け、鯵のなめろう。カウンターの中で、手際よく料理するスタッフ。手作りのアテでこの値段なんてお得感ありすぎ!


アボカド塩昆布と野菜のテリーヌ

モーニングは10時までだけど、私たちは当然のように飲み続け、次のアテはお造り。毎朝京都の中央市場まで仕入れに行くと聞いて、「電車で神戸から丹波口まで行くの!」と思わず声を上げてしまった。そして、ブロッコリーやニンジンなどの野菜と和のダシのバランスが絶妙な野菜のテリーヌに、アボカドと塩昆布。全員2杯目からは日本酒に切り替える。初めて見る酒、姫路の名城酒造の神Ⅶ(カミセブン)中取り大吟醸を飲んでみると、淡麗辛口、フルーティでグラスはすぐに空いてしまう。

楽酒には珍しい日本酒が多く、関西では滅多に見かけない、新潟の村祐にはときめいた。4人それぞれに違う日本酒を飲みながら、緊急事態宣言中を振り返って、ここでこうして飲めることに感謝し、仕事ができる幸せをかみしめた。

オーナーの栃本智恵さん

オーナーの栃本さんも生ビール片手に加わり、女子トークはさらに大きな輪になる。栃本さんは、もともと建築デザイナーで、酒好きが高じて自分で店を開いてしまった人。飲食店のデザインはお手のものなので、経験豊富な経営のプロや料理人のアドバイスを受けて細かい部分を決めていったそう。自身も酒好きだから、同じように何杯も飲みたい人のために酒の価格は抑え、立ち飲みでも料理はこだわった。
「朝酒ってなんか幸せな気分になりません?」という言葉にうなずく私たち。みんなが仕事をしている平日の午前中にお酒を飲めるのは、ライターという自由業ならでは。そして4人のうち2人は夕方からシャンパンの取材が入っている。これを仕事と言っていいのだろうか……。

ソーシャルディスタンスが計算されている店内は、生花がセンス良く飾られ、器の種類も多い、自粛期間中にプチチェンジをしたそうだ。そして、この期間に2店舗目の創作フレンチ「酒場サカイ」もオープンさせた。こちらは15時からと、やはり明るいうちから飲めるのは変わらない。早く仕事が片付いた日の夕方酒もいいけれど、元町のモーニング酒、きっとまた来てしまうだろうな。

 


◆ MENU(税別)
野菜のテリーヌ 580円
アボカド塩昆布 480円
神Ⅶ 390円

◆ Data
朝呑み 楽酒(あさのみ らくざけ)
電話:090-1592-5110
住所:兵庫県神戸市中央区三宮町3-9-24 月原ビル1F西
営業時間: 9:00~21:00(20:30LO)
休み:なし


◆ Writing / 松田きこ
(株)ウエストプラン代表。兵庫県西宮市在住。食・観光・人物取材に日本中を飛び回る。ライター歴20年以上。編著書「神戸・阪神間 おいしい酒場」「くるり西宮・芦屋・東灘・灘」「くるり丹波・篠山」他
http://www.west-plan.com/