京都・西陣生まれのクラフトビールと絶品イタリアン
【ハングリーシュガー】京都市・今出川
最近各地でクラフトビールの種類が増えて、個性的な味が楽しめる。京都・西陣で造られているクラフトビールを知ったのはつい最近のこと。醸造所を訪ねた際に、せっかくなら美味しい料理に合わせて飲みたい、ということで足を運んだのが、カフェレストラン「ハングリーシュガー」だ。
前菜
大宮通りも今出川あたりはずいぶん細い道で、京都らしい路地(ろうじ)と西陣の風情ある町並みが残る。日がとっぷりと暮れた頃、店を選んでくれたクラフトビールの製造元である西陣麦酒の松尾浩久理事長、そして松尾さんを紹介してくれた西陣織・岡文の岡本繁夫社長と店で待ち合わせた。駐車場の奥に明かりが見えるのが目当ての店。元々は鰻の寝床といわれる京都の町家だったことがわかる、間口が狭くて奥に細長い土地だ。
料理はコースでおまかせにしたので、何か出てくるかわくわく。はじめのひと皿は、クリームチーズとレッドチェダーチーズ、生ハム、ピクルスなど、ワインに合いそうな盛り合わせ。この日店にあった西陣麦酒のうちシルキーヴァイツェンを。ヴァイツェンのフルーティだけど決して甘くなく、キュッと引き締まった香りとさわやかな味が、ノドにしみわたる。私の好きな味だ。
鹿児島県産もち豚のグリル
料理は北海道産天然ハマチのカルパッチョ、スープ、サラダ、オリーブが入ったトマトソースのコンキリエと続いて、メインの鹿児島県産もち豚は、アンチョビーソースと粒マスタードでいただく。次のビールは柚子無碍。何ものにも妨げられず柚子を味わえるという意味だろうか…。国産柚子を加えたIPA(インディアペールエール)は、ホップの強い風味を感じつつ柚子の香りに包まれる逸品。デザートまでこのまま、このビールでいける。
西陣麦酒で撮影
絶妙なタイミングで料理を出してくれるオーナーシェフの村田貴文さんは、この西陣で生まれ育ち、社会人として経験を積んでから調理師となり、レストランで修業を積んだ人。2016年のオープン以来、口コミだけで地元の人気店となった。西陣麦酒の松尾さんとは、地元のグルメイベントで出会った縁だという。お酒は飲めない村田さんだが、松尾さんのビールは「試飲したら美味しかった」から、入れることを決めたそう。
ビールを造る松尾さんは、福祉施設を運営している。障がいのある人もない人も一緒にやりがいのある仕事を、美味しいものを作ってお客さんに喜んでもらい、しっかり利益も上げたい。そんな思いで造ったクラフトビールだ。ボトルに結ばれたタグには、「自閉症の人とともに」という文字が書かれている。
岡本さんとは西陣織工業組合が運営する西陣織会館でのビアガーデンなどでコラボをしている。古いしきたりが残るという京都だが、実は新しいものを受け入れて育んでいく気風もある。この地で織物が織られるようになったのは8世紀頃、西陣という名が付いてさらに発展したのは応仁の乱から数えても500年以上の歴史がある西陣で、新たなコラボレーションによる味の展開が広がりそうだ。
●クラフトビールの問合せ
特定非営利活動法人HEROES
京都市上京区竪門前町414西陣産業会館 080-2514-3441
◆ MENU(税込み)
西陣ビール690円
パスタ、サラダ、アラカルト各種890円~
コース、パーティプラン、ケータリングは予算に応じて(要予約)
◆ Data
ハングリーシュガー(Hungry Sugar)
電話:075-441-7169
住所:京都市上京区大宮通今出川下る薬師町248
営業時間:ランチ11:30~14:30(LO)、ディナー17:30~20:00(LO)
休み:木曜
◆ Writing / 松田きこ(ウエストプラン)
http://www.west-plan.com/