しぼりたての酒粕たっぷり鍋と福寿の酒

関西・オンナの美酒佳肴

 【神戸酒心館・さかばやし】神戸市・東灘区 

大寒波が関西をおそった日、神戸酒心館の「さかばやし」で予約していた酒屋鍋のなんとありがたかったことか。さかばやしは、世界で知られる福寿を醸す蔵元の直営店。酒屋鍋は冬の名物で、酒粕がたっぷり入ったダシで魚や肉、野菜などを煮込む。この鍋と日本酒でカラダの芯からじんわりと温まった。

実は酒粕は、ここ数年ハマっている食材だ。はやりの風邪に負けないために免疫力を高めたいという目的だけど、なんといっても美味しいから、そのまま焼いたり煮込み料理にも使っている。蔵元によって米の種類や精米歩合が違うから、いろいろ取り寄せるのも面白い。

写真:滝野利喜雄

酒屋鍋の具は、分厚く切った鯛、ブリ、サーモン、そして豚肉に鶏のつみれ、これらの具材と野菜から出た旨みが、酒粕によって深くダシに滲み出て濃厚な味になる。ベースのダシは昆布と鰹、この和のダシに福寿の酒粕で風味を加えて、地元六甲味噌の白味噌でまろやかに仕立てている。煮込むほどにダシがおいしくなって、ダシをあてに日本酒が進んでしまうほどだ。

シメは雑炊かなと思っていたら、お茶碗に白ごはんが出された。「雑炊もおいしいですが、この鍋をおかずにごはんを食べるのもいいですよ」とお店の方。半信半疑ではあったけれど、食べてみたら、美味しい! 酒粕はもともとはお米、発酵を経た酒粕ともっちりしたごはんのシンプルな甘味、合わないはずはないのかもしれない。

この日の日本酒は、2022年10月に発売になった、世界初となるカーボンゼロの日本酒「福寿 純米酒 エコゼロ」。醸造工程で二酸化炭素(CO2)排出ネット・ゼロ(カーボンゼロ)を達成した酒だ。精米歩合を70%から80%に引き上げ、精米工程におけるエネルギーを削減、米を低温でゆっくりと発酵させることで豊かな味わいを引き出す。さらに「きょうかい乾燥酵母」を使うことで酒母工程を省略し、醸造日数を大幅に短縮し環境負荷を低減。ラベルレス化として一般びんに銘柄を直接、無鉛インクで印刷するとのこと。その味はとってもシンプルでナチュラルな感じ。するすると喉を通っていくため、飲みすぎに注意しようと、この日のメンバーである業界の先輩方と注意しあったほど。

この酒屋鍋は11月から3月の季節メニューで、私がいただいたのは、先付やお造りなどがセットになった酒屋鍋会席。鍋が煮えるまでの間に、一品料理と地酒を楽しめるから、吞兵衛にはおすすめだ。これを食べると酒粕を買って帰るのが定番になってしまう。発酵ブームもまだまだ広がりそうだし、しばらく私の酒粕ブームも続きそうだ。ちなみに、さかばやしでも酒粕を使った一品料理がいろいろあるので、次回はこれも味わいたい。

 



◆ MENU(税込)

酒屋鍋 1人分4,300円
酒屋鍋会席 1人分6,500円
※上記はどちらも2人分より、前日18時までに要予約
酒粕の販売は10月から4月


◆ Data

神戸酒心館・さかばやし
電話:078-841-2612
住所:兵庫県神戸市東灘区御影塚町1-8-17
営業時間:
【 昼 】11:30~15:00(14:30LO)
【呑 み】14:30~17:30(17:00LO)
【 夜 】17:30~21:00(20:00LO)
定休日:水曜日

◆ Writing / 松田きこ(ウエストプラン)
http://www.west-plan.com/

 

※新型コロナウイルスの感染拡大防止のため対策した上で取材・撮影しています。
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