食は福井にあり 御食国・若狭で豊かな味と心に出合う
冬の訪れとともに、北陸からおいしい便りが届きました。福井、石川、富山の3県ではカニのシーズンが開幕。
古くから交通の要衝として様々な人や物資が往来した福井県。中でも若狭地方は、海上に交易船の北前船、陸上に京都と結ぶ鯖街道が通じ、その昔、天皇に捧げる食べ物を朝廷に供給する「御食国(みけつくに)」とされた。
若狭の玄関口・敦賀を代表する特産物といえば、昆布。北海道で取れた昆布は、かつて北前船によって敦賀で水揚げされ、蔵の中で熟成した後、京都や大阪などの料亭に出荷されて、最上級のダシ昆布として珍重された。
職人が熟練の技で薄く削る「おぼろ昆布」は今も全国の8割以上が敦賀産。市内の老舗、奥井海生堂では予約すれば工場や蔵が見学できる。
若狭グルメでは、サバやカレイも代表選手。海岸線が複雑に入り組む若狭湾は、川から流れ込む栄養分が豊富で、魚たちは冬の寒さを乗り切ろうと脂を蓄えつつ身も引き締まるため、おいしさが増す。
脂の乗ったサバを丸ごと一本焼いた「浜焼き鯖」、足が早いサバを米糠と塩などで約1年漬けて長期保存を可能にした「へしこ」が有名。へしこは家庭や店によって発酵具合と味が微妙に異なる。酒かすを餌に混ぜ養殖した「よっぱらいサバ」は、小浜市がブランド化を進めて人気上昇中だ。
人口あたりの寺院数が全国一の福井県では、精進料理を郷土の味として見直す動きも。美浜町の徳賞寺では、予約者に精進料理を提供。魚介類や肉類を一切使わない献立は創意工夫に満ち、ひと口ごとに自然の滋味が広がる。
福井県では、豊かな食文化を通して県のイメージを強化する取り組みを推進している。10月には「御食国・和食の祭典in若狭路2019」を小浜市で開いた。開会式典に参加した杉本達治知事は「北陸新幹線の敦賀開業、京都、大阪への延伸実現に向けて、福井の魅力を広く発信していきたい」と意欲を見せていた。
● 問い合わせ 福井県交流文化部ブランド課 TEL:0776-20-0762
福井・石川・富山 観光キャラバン隊が来訪「カニを食べに北陸へどうぞ」
北陸3県の観光とグルメをPRするキャラバン隊がこのほど、大阪・中之島の朝日ファミリー編集部を訪れた。
キャラバンは福井、石川、富山の各県とJR西日本、北陸経済連合会でつくる北陸三県誘客促進連携協議会が、来年3月の北陸新幹線開業5周年を前に企画した。北陸ではカニ漁が本格化し、待ちに待った冬のグルメシーズンが開幕。各県は地元産のズワイガニや紅ズワイガニを、越前がに(福井)、加能ガニ(石川)、高志の紅ガニ(富山)と名付けてブランド化に力を入れており、今年もうまみがぎゅっと詰まり、味は格別だという。
富山では新湊市で「昼セリ見学&食べ放題プラン」、石川では加賀市で「極上!橋立ブランド夫婦かにづくし会席」、福井では越前町で「越前がにバイキング」などの特別企画も用意されているという。
とやま食の王国大使ふふふの牧山由貴さんは「五箇山は雪が絵本のように幻想的です」、ミス百万石の横山実希さんは「兼六園の雪吊りは夜が美しいですよ」、福井県越前若狭の観光宣伝隊の西穂乃果さんは「越前海岸では冬にスイセンが見頃を迎えます」と観光面もしっかりPRしていた。