「最近、足腰の筋力・健康維持にスクワットが注目されてきているのはとても良いことですが、スクワットはフォームが難しく、やり方次弟では効果が出ないばかりか、ひざや腰を傷めてしまうこともあるのです。せっかくせっかくスクワットに興味・関心を持ってくださったなら、ぜひ安全で効率的なフォームをマスターして実践してほしい」と熱く語るのは、大阪を中心に全国でスクワットアドバイザーとして、その普及に尽力している小川りょうさんだ。
小川さんは愛知県出身。フィットネスインストラクターを経て、2000年にフリーの健康づくり指導者として活動をスタート。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科修士課程修了の理論派ながら気取らない人柄で、カルチャースクールやセミナーの講師としても人気を集めている。
――では早速、安全で効率的なフォームを教えてください。
小川 まずは、足を肩幅に開きます。「足を肩幅に開いて」と言うと、女性は狭くなりがちな人が多いので、下の写真のように新聞紙を目安に開くとちょうどいいんです。その後、両足の先を外側に30度向けます。この態勢が正しいスタートポジションです。しっかり覚えてくださいね。
――意外としっかり足を開いた感じになりますね。
小川 そうでしょう。「肩幅」を理解していても、実際には出来ていない人が多いんです。そこで、指導でこんなふうに具体的にお教えすると「ああっ!」って皆さん声をあげて感覚としてつかんでくれます。
次に、ひざを曲げながら、お尻を後ろに突き出すようにしゃがんでいきます。この時足のつま先方向に膝を向けていきます。とても大切なのは、曲げたひざを足先より前に出さないこと。ひざが足先より前に出ると、ひざ関節に過度な負荷がかかり、傷めてしまうからです。図では、板でひざをブロックしています。
――うつむき姿勢になって、自然と目線が前方の床に落ちていきますが……。
小川 そう、思わず下を向いて誤ったフォームになりがちになります。顔を上げて目線はまっすぐ前をキープするよう意識してください。両手を前に伸ばし、指先を見ると良いでしょう。そして、お尻は後方に突き出すようにします。すると、太ももの前だけでなく、お尻や太もも後ろにも負荷を感じますね。これが、ひざ関節のリスクを最少限に、下肢筋肉全体に最大限に効かせる効率的なフォームです。
――確かに、効いている感じがします。他に注意することは?
小川 呼吸ですが、しゃがむ時は息を吸います。そして、息を吐きながら最初の姿勢に戻ります。立ち上がる時に最も大きな力がかかりますので、その時に息を吐くと覚えておくといいですね。しゃがむ深さは浅くてもかまいませんが、図のように最大90度までですよ。
――どのくらいの頻度でやるといいのでしょうか?
小川 理想は1セット15回を1日3回朝昼晩ですが、1日1回でも、週2~3回でも構いません。安全かつ効率的なフォームで長く続けて、足腰の筋カ維持に役立てることが大切です。(季)