「路上で雑誌を販売する仕事を、ホームレスの人々に提供することで自立を応援する」という目的のもと、2003年9月に大阪で創刊された『ビッグイシュー日本版』の人気連載「世界一あたたかい人生レシピ」が単行本になり、12月15日から路上で先行販売されている。
2005年9月から続く連載は、読者から寄せられた人生相談に、ビッグイシューの販売者が回答し、雑誌やテレビで活躍中の料理研究家・枝元なほみさんが「悩みに効く料理」のレシピをコメント付きで寄せるスタイルのユニークなもの。ホームレス状態を経験したビッグイシュー販売者による回答は「決して人を傷つけない“下から目線”で、ほっこり温かい言葉の数々に優しい気持ちになれる」と毎回好評で、最初の連載からは12月で310回になったという。
2008年12月に発行した単行本の第1弾『世界一あたたかい人生相談――幸せの人生レシピ』は路上で1万部を完売。今回発売された第2弾『クッキングと人生相談――悩みこそ究極のスパイス』は、10年ぶりの待望の新刊だ。
「悩みやすく、不安だらけ。負の連鎖から抜け出すには?」(19歳男性)、「一人で子どもを守っていけるか不安です」(43歳女性)、「どうして大人は子どもに夢を聞きたがるんですか」(中2男子)など、小学生から80代まで48人の読者から寄せられた人生相談に、ビッグイシュー販売者と枝元さんの“最強タッグ”が回答。読むだけでも元気がもらえる料理本に仕上がっている(もちろん、悩みを寄せた読者がチャレンジできるよう工夫されたレシピは、料理初心者への指南書としても役に立つ)。
さらに今回は、枝元さんが考案した料理で伝える「ありがとう」「ごめんなさい」「おめでとう」のスペシャルレシピ6点が追加されている。
ビッグイシュー編集部の松岡理絵さんは「毎月発行する雑誌と同じ仕組みで、定価の半分は路上に立つ販売者の収入となります。暖かい年越しのための臨時収入の機会にもなってほしいし、本を介して道行く人とコミュニケーションが生まれることを期待しています」と話している。
ビッグイシュー日本版のホームページはコチラ www.bigissue.jp
12月21日には大阪市中央公会堂で、ビッグイシュー販売者たちと読者が参加し今回の出版を祝う会を兼ねた「クリスマスパーティー」が開かれ、枝元なほみさんの料理を楽しんだ。
『ビッグイシュー日本版』について★毎月1日と15日に発行。1冊の販価350円のうち180円が販売者の収入になる。路上で販売者になれるのは、安定した住居を持たないホームレスの人々のみ。通算発行部数820万部。販売者へ提供収入額12億3556万円。平均発行部数2.5~3万部。販売者数は約114人。(以上の数字データは2018年8月末現在) |