JR大阪駅の北側で開発が進む「うめきたエリア」に、同駅の新しい地下ホームが3月18日(土)開業する。JR西日本は開業に先立ち、地下ホームを16日に報道公開。関西空港と大阪駅が特急で直結することによる鉄道ネットワークの利便性向上や、AIやデジタル技術を駆使した新たな乗客サービスの導入などに期待が高まっている。
大阪駅(うめきたエリア)は、大阪駅北西側の地下に誕生する。地上の大阪駅とは地下ホーム開業と同時に開設される西口から地下通路で連絡。2面4線のホームには、これまで大阪駅から離れた東海道支線を通過していた特急「はるか」「くろしお」が停車し、関西空港・和歌山方面と大阪駅・梅田エリアの間の移動が便利になる。また、おおさか東線(新大阪~久宝寺)の列車も同駅に乗り入れを開始。奈良方面への直通快速や臨時特急「まほろば」も発着し、大阪東部・奈良への玄関口の一つになる。
JR西日本では発展著しい「うめきたエリア」に生まれる地下ホームを、イノベーションの実験場「JR WEST LABO」の中心地と位置づけ、鉄道サービスの未来形を探るさまざまな試みも随所に取り入れられた。目玉は地下2階のホームに設置された「フルスクリーンホ-ムドア」。床から天井まで全体を覆う形のホームドアは、列車ごとに異なる扉の位置に合わせて「ふすま」のように自在に動くのが特長で、同社によると世界でも初めてだという。
地下1階のコンコースでは、デジタル画面を活用した案内表示やプロジェクションマッピングを使った大型映像の投影が目を引く。案内表示をデジタル化することで、乗車ホームの区別が大きくわかりやすくなったほか、列車の運休や遅延時などは運転状況を臨機応変に表示できるようになり、情報発信が充実する。また、幅14メートル、高さ3.3メートルの大型映像をコンコース奥の壁面に投影。季節感や関西らしさを意識した映像が多彩なパターンで楽しめる。人工知能(AI)を活用した案内システムや券売機も設置された。
さらに注目されるのが同社が初めて設置した顔認証改札機。顔画像とICOCA(ICカード)の情報を事前に登録すると、通路に設置されたカメラが乗客を認証し、改札機に触れることなく通過できる。対象区間の定期券を持っている乗客の登録を受け付け、実証実験を重ねて実用化を探る方針だ。
報道公開に立ち会ったJR大阪駅長の渡辺弘幸さんは「念願の関西空港と結ばれることで大阪駅が海外との結節点となり、特急の停車が増えて通勤のご利用も便利になります。大阪・関西万博に向けて、安全をしっかりと確保しつつ、さらに快適さを提供できる駅にしていきたい」と話していた。