本と出会い 時間も満喫
伊丹と豊中のこだわり書店を紹介

 まもなく読書の秋。本との出会いを楽しめる伊丹と豊中のこだわり書店を紹介します。(西本幸志)

 

イベントで魅力を発信 「大切な本を愛してくれる人へ」

三皷由希子さん バス通りに面した15平方mほどのスペースに美術・芸術、自然・社会科学、小説を中心に古書約3千冊がびっしりと並べられている。三皷(みつづみ)由希子さん(51)が2年前にオープンし、昨年9月に現在地に移転した「古書みつづみ書房」。自宅から持ち込んだ1千冊ほどを並べたのを手始めに、買い取った本の中から、自分も読んでおもしろいと思えた本などを選んで置いている。「誰かに愛されてきた本が、またそれを必要とする人に受け継がれていくのが古書の魅力ですね」。美術・芸術関連をメインに据えたのは、夫婦ともにアートが好きで、開店時に夫の蔵書を多く並べたからだという。
 月4、5回ペースで10人規模のイベントも開く。書店員や著者らを招いてのトークや消しゴムでハンコを作るワークショップ、チェロやアコーディオンの音楽会など多彩だ。「ネットなどで情報があふれる時代だからこそ、実際に手にとって読む情報は貴重なはず。イベントがきっかけで普段読書をしない人が来てくれたらうれしい」

古書みつづみ書房 店内
中央のテーブルとイスは、本との時間をゆっくり過ごしてほしいという三皷さんの思いから

 


 

花や展覧会も 「文化の発信地として歩む」

吉川祥一郎さん 服部緑地に近い緑に囲まれた静かな住宅街の一角に「blackbird books(ブラックバードブックス)」はある。2012年にオンラインショップとしてスタートし、2年後に豊中で店舗を構え、16年にいまの場所へと移った。小説やアートブック、絵本、リトルプレスなどの新刊と古書、約3千冊が並ぶ。店主の吉川祥一郎さん(38)は、「本、花、音楽、アートに親しんでもらえる場所を作りたかった」と話す。
 主に月末の土日には「花店note(ノート)」の屋号で、季節の生花を約20種類販売。また、展示スペースを設けて絵や写真の展覧会なども開催。店はさまざまなアイデアと表情で人気を集めている。
 前職はCDショップの店員。そこで働くうちに自分の店を持ちたいと思うようになった。中学生の時にファーブル昆虫記を愛読して以降、どんなに忙しくても月6冊ほどは必ず読む。「住む街にとって文化の発信地はとても大切だと感じていて、だったら自分でやってみようと思った。若い人が気軽に本に触れられる場所にしたい」と夢はまだ続く。

blackbird books 店内
取材日も、展示目当ての女性客が店を訪れていた

 

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