「あなたが介護で後悔する35のこと~そして、後悔しないための8つの心得~」吹田市の上村悦子さんが出版

 これからの時代、介護と無縁で生きていける人はまれだろう。「介護する人、される人、どちらにも役に立つ本になれば」と、吹田市在住のライター上村悦子(うえむら・よしこ)さん(68歳)が、3年がかりで貴重な本を10月に出版した。題して「あなたが介護で後悔する35のこと~そして、後悔しないための8つの心得~」(講談社 介護ライブラリー、四六判223ページ、本体価格1,300円)。「読み進めていくうちに、介護の技術や知識が自然に身に付く本を目指した」という。

「講談社から出版なんてすごいとライター仲間に言われましたが、これもさくらちゃんの年1回の『かいご学会』で、講談社の編集者さんを紹介していただいたのが始まりでした」と話す上村悦子さん

 3年間で話を聞かせてもらった介護体験者は17人。その誰もが「後悔」を口にした。25年にわたって夫の療養生活を支えてきた女性は「満足のいく介護なんてあり得ない」と、上村さんに話した。「けれども何度も後悔を重ねていくうちに、皆さん自分なりに工夫、努力して、知らず知らずのうちにクリアしていき、どんどんたくましくなっていかれた。なぜ、そんなふうになれるのかも、この本を書くことで知りたいと思った」

 上村さん自身、故郷の岡山県で兄夫婦と同居していた母が電話口で「お母さん、バカになった気がするよ」と言った時、聞き流してしまったことを後悔してきた。「母に認知症が出始め、どれだけ不安だったことか。なのに私は何も学ぼうとしなかった」。その思いが後悔をテーマにした取材を粘り強く続ける原動力にもなったのではないだろうか。

 ある取材で介護する家族が集まる「つどい場さくらちゃん」(西宮市)を訪ねたのは2007年、母が亡くなった後だった。「介護する人もされる人も、誰もが気持ちをオープンにできる場で、その心地よさにまいってしまった。話を聞いてくれる人に気持ちを話せば、元気になれる。おしゃべり好きだった母を連れて来たかったと思った」。代表の丸尾多重子さんとも親しくなり、ほれ込んだ上村さんは丸尾さん監修のもと「まじくる介護 つどい場さくらちゃん」(雲母書房、2011年)をまとめた。今回の本の取材で話を聞かせてくれた介護体験者の何人かはここで知り合った人だ。

 「何度も取材して細かいことを聞く私に、皆さん嫌な顔ひとつせずに話してくださった。自分が話すことが、これから介護する誰かの役に立つと知っていらっしゃったからだと気づいた。介護体験者が後悔を乗り越えて、たくましくなっていくのも、つながり合って社会に向けた活動をされているからではないかと思う」

 帯には上村さんと共著「家族が選んだ『平穏死』」(祥伝社黄金文庫、2013年)を出した縁で、尼崎市の長尾クリニック院長・長尾和宏さんの推薦の言葉が寄せられている。




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