2024(令和6)年がスタート。北摂エリアにとって今年最大の話題は、北大阪急行・千里中央~箕面萱野間の開業だ。千里中央駅から北へ約2.5km延伸され、途中に箕面船場阪大前駅が開設。3月23日(土)に開業する。
萱野中央駅 新たな交通結節点に期待
箕面萱野駅は新御堂筋と国道171号が交わり、箕面市が北急延伸を見込んで整備を進めてきた「かやの中央」地区に誕生する。新御堂筋の東側に2階建ての駅舎が既にほぼ完成。周囲の豊かな自然との調和をめざした白い屋根と木目格子を思わせるデザインが目を引く。ホームは2本の線路が挟む島式1面で、南から走ってきた電車が行き止まる形状。ここから梅田まで、乗り換えなしの約24分で結ばれる。
改札口は2カ所。北側はショッピングモールにつながる歩行デッキにホームから段差なしで出入りができ、南側には路線バスが発着する交通広場に面した階下に改札口が設けられる。バスの路線網は新駅開業に合わせて再編。箕面市内の東西の往来がスムーズになり、新名神高速道路などを含めた広域の交通結節点として期待されている。
11月26日には同駅で延伸線のレール締結式が開かれた。主催者である箕面市の上島一彦市長は「箕面市だけでなく大阪北部の観光、ビジネスの活性化が期待できる」と挨拶。北大阪急行電鉄の内芝慎一代表取締役社長は「住みやすく活力に満ちた沿線地域であり続けることに貢献していきたい」と意欲を見せた。
箕面船場阪大前駅 コンパクトで使いやすく
箕面船場阪大前駅は、新御堂筋に架かる新船場北橋の東側地下に造られた。「『繊維のまち』と『新しいまち』 その玄関口となる駅」をコンセプトに、折り重なった繊維をモチーフにしたデザインを天井や壁に施し、レンガタイルも多用するなど趣向を凝らした。地下駅でありながら明るく温かみが感じられる。
利用者の移動距離ができるだけ少ないコンパクトな駅を心がけ、地下1階の改札口周辺にエレベーター、トイレ、授乳室などを集中的に配置。一般トイレにもオストメイトやおむつ換えなどの設備を追加し、多機能トイレに利用が集中しないようにしたのも特色だ。東京五輪後のユニバーサルデザインの新ガイドラインに沿ったもので、箕面萱野駅も同様に設備が整えられた。どちらの駅にもホーム ドアも完備されている。
12月19日には、箕面市立東小学校の3年生が同駅を見学に訪れた。北急担当者が路線の歴史や工事の経過などをパネルを使って説明。子どもたちは出来上がったばかりの地下3階のホームを興味深そうに見て歩き、「何種類ぐらいの電車が走るの?」など次々と質問をしていた。児童の一人は「電車を使って家族で野球を見に行きたい。早く乗りたいです」と声を弾ませた。
同駅前では新しいまちづくりも進む。大阪大学の新キャンパスが移転してきたほか、市立文化芸能劇場、船場図書館などが既にオープン。今後駅前広場や、高齢者の健康を見守る箕面船場阪大ヘルスケア総合センターの開設も予定されている。北大阪急行では1日あたり、箕面萱野駅で2万8千人、箕面船場阪大前駅で1万7千人の利用を想定。延伸線の開業に合わせて駅名看板や案内サインのデザインを30年ぶりに一新し、1970(昭和45)年の江坂~千里中央(万国博中央口)運行開始に次ぐ第二の開業と位置づけ、カウントダウンに入っている。